【マーケター必見】価値を置けば人は動く|ポケモンGOに学ぶ、文脈マーケティングの本質
目次
私がPokemonGoの素晴らしさを知れたのは、長瀬次英さんのおかげです。仕事でもプライベートでもお世話になりっぱなしの長瀬さんに、改めて感謝を申し上げます。私にPokemonGoのマーケティングの奥深さを気づかせて下さり、ありがとうございます。


① 10年続く熱狂の正体
マーケティングの世界にいると、「人を動かすこと」ほど難しくて、そして面白いテーマはないと痛感します。チラシはすぐに捨てられ、広告は一瞬でスキップされ、SNS投稿はアルゴリズムの波に飲み込まれて消えていく。
そんな時代に、リリースから10年近く経った今もなお、世界中の人々を物理的に歩かせ、特定の場所に集め、さらには財布の紐まで緩めさせ続けているモンスター級のアプリがあるのをご存じでしょうか。
そう、『Pokémon GO(ポケモンGO)』です。
「懐かしいキャラクターを捕まえるゲームでしょ?」「まだやってる人いるの?」——もしその認識で止まっているとしたら、マーケターとしてはかなりもったいない視点かもしれません。
あれは、単なるキャラクターゲームではありません。最新テクノロジーであるAR(拡張現実)を基盤に、人間の根源的な欲求を巧みに刺激する心理学、そして緻密に設計された経済モデルが組み合わさっている。
言い換えれば、極めて洗練された「行動変容装置(Behavior Modification Device)」なのです。
10年近くも人を動かし続ける仕組み。その裏側にある設計思想を読み解くことは、マーケティングに携わる私たちにとって、最高のケーススタディになるはずです。
本レポートでは、なぜポケモンGOがあれほどまでに人を動かせるのか、その裏側にあるマーケティングの仕掛けを、中立的な視点でひも解いていきます。少しだけ舞台裏を覗き見るようなワクワク感も、一緒に楽しんでもらえたらうれしいです。
テーマはゲームですが、本質はもっと普遍的なものです。たとえば「店舗集客」「コミュニティ形成」「ブランドロイヤリティの構築」。どれも、あらゆるビジネスに直結する重要なキーワードですよね。
読み終える頃には、「これ、自分のビジネスにも使えるかもしれない」と思えるヒントが、きっといくつも見つかるはずです。

「現実世界」こそが最強のコンテンツ


まずは、このゲームの根底にある哲学から見ていきましょう。開発元であるNiantic(ナイアンティック)の創業者兼CEO、ジョン・ハンケ氏は、一貫して「メタバースは仮想空間(VR)ではなく、現実世界(AR)にあるべきだ」と語っています。
ここ数年、多くの巨大IT企業が「ヘッドセットを被り、家の中で完結する世界(VRメタバース)」の構築に莫大な投資をしてきました。一方で、Nianticのアプローチは真逆です。彼らがプレイヤーに投げかけているメッセージはシンプル。「外に出ろ。冒険しろ。人と会え」。
この思想を、彼らは「リアルワールド・メタバース(Real World Metaverse)」と呼んでいます。街も、公園も、店舗も、すべてがゲームの舞台になる。プレイヤーは消費者であると同時に、現実世界を動き回る参加者になるのです。この設計思想こそが、10年近くにわたって人を物理的に動かし続けてきた原動力だと言えるでしょう。

「場所」に意味を与える力
従来のロケーションベースサービス、たとえばFoursquareのようなアプリは、「すでにそこにある店」にチェックインする仕組みでした。あくまで主役は現実の店舗です。
一方で、ポケモンGOがやったことはまったく違います。「何もない場所」にデジタルのレイヤーを重ね、そこに新たな価値「ポケモンやアイテム」を付与したのです。
普段なら誰も気に留めない道端の石碑や、小さな公園の滑り台が、「ポケストップ」という資源供給拠点に変わる。この瞬間、ただの風景が目的地になります。
結果として、人の流れ(人流)を意図的にデザインできるようになった。これは単なるゲーム設計ではなく、リアルな空間価値を再定義する仕組みです。
「そこに店があるから人が来る」のではなく、「価値を置いたから人が動く」
この発想の転換こそが、ポケモンGOの本質的な強さなのです。

赤髪の余談:PokemonGoは4月1日の冗談がきっかけ
実は、ポケモンGOの原点は2014年のエイプリルフールにあります。Googleが仕掛けた「Googleマップ・ポケモンチャレンジ」というジョーク企画です。
Googleマップ上でポケモンを探せ。ただそれだけの冗談でした。ところが、この企画に世界中が熱狂します。当時、Googleの社内スタートアップだったNiantic Labsのチームは、その異様な盛り上がりを目の当たりにしました。
「これ、本当に作ったらどうなる?」
普通の会社なら、「面白いジョークだったね」で終わっていたはずです。でも彼らは違った。ジョークの裏に眠る可能性を、ビジネスの種として本気で拾い上げたのです。
遊びの中にある熱量を、プロダクトへと昇華させる。この「冗談を本気にする力」こそがイノベーションの源泉であり、遊び心が世界を変えた象徴的なエピソードだと言えるでしょう。

② 人はなぜ歩くのか? 行動経済学で読み解く
運動不足という現代病への処方箋
「健康のために毎日1万歩歩きましょう」
医者や健康番組でそう言われても、素直に毎日続けられる人はそれほど多くありません。人間は、将来の健康や病気予防といった長期的で曖昧なメリットよりも、目の前のケーキやソファでの休息といった短期的で明確な報酬を優先してしまう生き物だからです。
これを行動経済学では「現在バイアス」と呼びます。
ところが、ポケモンGOはこの高い壁を軽々と越えてしまいました。
ある研究では、ポケモンGOのプレイヤーは、プレイしていない人に比べて1日平均で約2,000歩も多く歩いているというデータがあります。また、プレイ開始後に1日1万歩以上歩く人の割合が15.3%から27.5%へと、約2倍に増加したという報告もあります。
健康のためと言われても動かなかった人が、なぜゲームのためなら歩いてしまうのか。しかも、誰に強制されたわけでもないのに。
その裏には、マーケターならぜひ押さえておきたい「フック・モデル(Hook Model)」という心理学的な設計が、教科書通りと言っていいほど精巧に組み込まれています。
ポケモンを捕まえたい、進化させたい、レアな個体に出会いたい。
その今すぐ欲しいという短期的な報酬が、現在バイアスを上書きする。
結果として、人は「健康のため」ではなく「楽しいから」という理由で1日2,000歩を積み増し、1万歩を達成してしまうのです。
散歩を義務にしない。
報酬を未来に置かない。
今この瞬間に小さな達成感を用意する。
この設計思想こそが、「歩かせる力」の正体なのです。
報酬は「ランダム」だからこそ燃える
フック・モデルとは、ユーザーに新しい習慣を形成させるためのフレームワークです。では、ポケモンGOの設計に当てはめて見てみましょう。
①トリガー(きっかけ)
外的トリガー : スマホが振動し「近くにポケモンがいる」と通知が来る。友人が「あそこの公園ですごいのが出た」と言う。
内的トリガー : 退屈だ、気分転換したい、という感情。
②アクション(行動)
アプリを開く。靴を履いて外に出る。その場所まで歩く。
③リワード(報酬)
ポケモンが出現し、捕まえることができる。
④インベストメント(投資)
捕まえたポケモンを育てる。図鑑を埋める。チームに貢献する。
この流れを見ると、すべてが自然につながっていることが分かります。通知や退屈というきっかけから始まり、気づけば外に出て歩き、報酬を得て、さらに時間や感情を投資していく。中でも最も重要なのが、3番目の「リワード」です。ここで使われているのが「可変的報酬(Variable Reward)」というテクニックです。
毎回同じポケモンが出るわけではない。レアが出るかもしれないし、出ないかもしれない。この分からなさが、脳を強く刺激します。だから人は、「次こそは」と、もう少しだけ歩いてしまうのです。
「必ずしもレアなポケモンが出るとは限らない」
「個体値(強さ)が高いとは限らない」
「色違い(超レア)かもしれない」
このかもしれないが、人を動かします。
毎回すばらしい報酬が出れば、刺激はすぐに薄れてしまう。逆に、毎回ダメでもやはり飽きてしまう。人を最も夢中にさせるのは、「たまに、すごく良いことが起きるかもしれない」という予測不可能性です。
この不確実さが脳内の報酬系を刺激し、ドーパミンを強く分泌させます。仕組みとしては、ギャンブルやスロットマシン、あるいはSNSのフィードを更新する動作「面白い投稿があるかもしれない」と期待してスクロールする感覚と同じ原理です。
マーケティングに応用するなら発想はシンプルです。
「来店したら必ず飴玉をあげる」よりも、
「来店したらクジが引けて、10回に1回豪華商品が当たる(外れは飴玉)」。
どちらがワクワクするかは明らかですよね。
後者のほうが客足は伸びやすく、再来店率も高まる。
重要なのは、確実な小さな得よりも、もしかしたら大きな得があるかもしれないという期待感なのです。


「サンクコスト」と「保有効果」
さらに面白いのは、一度歩いてポケモンを捕まえ、育て始めた後に働く心理です。ここで作用するのが「保有効果(Endowed Progress Effect)」です。
「ここまで育てたんだから、やめるのはもったいない」
「図鑑があと少しで完成するのに」
そんな気持ちになったことはありませんか?人は、自分がすでに持っているものや、労力をかけたものに対して、客観的な価値以上の高い価値を感じる傾向があります。
ポケモンGOでは、ユーザーは自分の時間と労力…つまり歩いた距離や費やした時間を投資しています。その投資が積み重なるほど、簡単にはやめられなくなる。
これが「サンクコスト(埋没費用)効果」です。本来は合理的ではない判断を生む心理バイアスですが、ゲームの文脈ではポジティブな継続理由として機能します。ビジネスに置き換えると、会員ランク制度やポイントカードのスタンプラリーがこれに当たります。
「あと1個スタンプが貯まれば特典!」
そう言われると、つい予定になかった買い物をしてしまう。
ポケモンGOは、この人間のバグとも言える心理特性を、ウォーキングや探索という比較的健全な行動に結びつけています。やめられない仕組みを作ること自体が目的ではない。継続の力を、より良い行動へと向けている。そこに、この設計の巧みさがあります。

ゲーミフィケーションによる「歩行」の再定義
ポケモンGOは、「歩くこと」の意味そのものを書き換えました。それまでの歩行は、ただの移動手段か、健康のための運動でした。ところがこのゲームの中では違います。歩くことは、「タマゴを孵化させるためのエネルギー充填」になり、「相棒ポケモンからアメをもらうための労働」になります。
同じ1kmでも、意味が変われば体感はまったく別物になる。これがゲーミフィケーションの本質です。そのスケールを象徴するデータがあります。2024年のイベント「Pokémon GO Fest」の参加者だけで、総歩行距離は1億キロメートルを超えました。これは地球を約2,500周する距離に相当します。
1億キロメートル。約2,500周。
マーケティングとゲームデザインの力だけで、人類をここまで歩かせた事例は、歴史上ほとんど前例がありません。
「歩け」と命令したわけではない。
「健康になろう」と説教したわけでもない。
ただ、意味を変えただけ。その結果、世界規模で人が動いた。 ここに、行動変容設計の究極形が見えてきます。

③ チャリンと音がするビジネスモデル:CPVの衝撃
ここからは、少し「お金」の話をしましょう。経営者の方なら当然気になりますよね。「無料アプリなのに、どうやって稼いでいるのか?」と。もちろん、ユーザーによるアイテム課金、モンスターボールやレイドパスの購入も大きな収益の柱です。でも、マーケターとして本当に注目すべきなのは、もう1つの仕組みです。
それが「スポンサード・ロケーション」というBtoBモデル。
簡単に言えば、企業や店舗がお金を払って、自社の店舗をゲーム内のポケストップやジムとして登場させる仕組みです。リアル店舗が、ゲーム内の目的地になる。
これの何がすごいのか。
従来の広告は、「見られたかどうか」が基準でした。インプレッション、クリック、再生回数。いずれも画面上の反応です。しかしスポンサード・ロケーションは違います。基準は「実際に人が来たかどうか」。
デジタル広告でありながら、成果はリアル来店という形で可視化される。オンラインとオフラインが完全に接続されているのです。
広告を見せるのではなく、人を歩かせる。しかも、ゲームという自然な動機の中で。無料アプリの裏側では、こうしたチャリンと音がする仕組みが、静かに、そして確実に回っているのです。

「1来店」をお金に変える魔法
マクドナルドやスターバックス、日本ならファミリーマートやソフトバンクショップが、公式の「ポケストップ」や「ジム」になっているのを見たことがあるはずです。
でも、あれは単なるコラボや話題づくりではありません。企業はNianticに対価を支払い、自社店舗をゲーム内の重要拠点にしているのです。
そこで採用されているのが、CPV(Cost Per Visit:来店単価)というモデルです。
Web広告の世界では、クリック課金(CPC)や表示課金(CPM)が一般的です。しかし、それらはあくまで「画面上の反応」。実際にお店に足を運んだかどうかまでは分かりません。
一方、ポケモンGOは違います。
「実際にその場所を訪れたら課金」
GPSという客観的データに基づいているため、来店というリアルな行動がそのまま成果指標になります。ごまかしは効きません。CPVの単価は、推定で1訪問あたり約10円〜50円程度($0.15 – $0.50)と言われています。この数字、かなり衝撃的です。
例えば、チラシを1万枚配り、制作費と配布費で10万円かけたとしましょう。反応率が低ければ、来店は数人。1人呼ぶのに数千円かかっている計算になります。
しかしポケモンGOなら、「実際にお店の前まで来た人」、しかもゲーム内で何らかのアクションを起こした人に対してのみ、数十円を支払えばいい。さらに重要なのは、その来店客の状態です。
「喉が渇いたな」
「ついでにハンバーガーでも」
「充電できる場所ないかな」
そんな今まさに外出中の文脈にいる人たちです。コンバージョン(購買)までの距離が、圧倒的に近い。広告を見せるのではなく、来店という行動そのものを買う。CPVは、オンライン広告とリアル店舗をつなぐ、極めて実践的なビジネスモデルなのです。
マクドナルド・ジャパンの驚異的な数字
実際、日本のマクドナルドはこの戦略で大きな成果を上げました。ピーク時には、提携店舗約3,000店全体で、1日あたり数百万人単位の訪問者をゲーム経由で獲得したとも言われています。
Nianticの公表によれば、1店舗あたり1日2,000人の訪問者が記録されたケースもあります。
では、少し計算してみましょう。
仮に、そのうちの10%がコーヒー1杯100円を購入したとします。
1店舗あたり、2,000人 × 10% × 100円 = 2万円の増収。
これが3,000店舗で起きたらどうなるか。
2万円 × 3,000店舗 = 1日で6,000万円の売上増です。
もちろん、ここからCPVコストは差し引かれます。それでも、1訪問あたり約10円〜50円程度という単価を前提にすれば、十分にペイする可能性が高い。
ここで重要なのは、「広告を見せた」ではなく、「実際に足を運ばせた」という点です。EC全盛の時代、多くのビジネスがオンラインへと流れました。しかし、実店舗には物理的に人が来るという圧倒的な強みがあります。ポケモンGOは、その「来店」という行動そのものに値札をつけた。「そこに人が物理的に行くこと」に価値を与える。これは、リアル店舗を持つ企業だけが繰り出せる、最強のカウンターパンチと言えるでしょう。



スターバックスの「商品開発」との連動
スポンサー企業の一つであるスターバックスの事例も、かなり秀逸です。彼らは単に店舗をポケストップにするだけでは終わりませんでした。「ポケモンGOフラペチーノ」という専用メニューまで開発したのです。ゲーム内で店舗アイコンをタップすると、そのフラペチーノが表示される仕組みになっており、プレイヤーの「喉の渇き」を視覚的に刺激する設計。つまり、ゲーム内のUIが、そのままリアル商品の販促ツールになっていたわけです。
さらに注目すべきはタイミングです。このコラボは12月、つまり冬の寒い時期にスタートしました。通常であれば、冷たいドリンクの売上は落ちやすいシーズンです。にもかかわらず、あえてゲームと連動させることで、プレイヤーを店内へ誘導し、結果的に暖を取る場所としての価値も提供する。来店の動機をゲームで作り、滞在の理由を空間で支える。
単なるポケストップ化という「場所貸し」ではありません。 商品開発、季節戦略、来店導線までを一体設計している。ゲームの中と、現実の売場。 その両方をつなげたことで、相乗効果を最大化した好例と言えるでしょう。

④ ラプラスが動かした20億円
マーケティングの力は、大企業だけのものではありません。ポケモンGOは、地方自治体が長年頭を悩ませてきた「観光客誘致」という難題に対しても、まるで魔法のような解決策を提示しました。
何もない場所に、価値を作る
通常、観光客を呼ぶには「城」や「温泉」や「絶景」、あるいは「ゆるキャラ」といった分かりやすい資源が必要です。そのために多額の税金を投じてハコモノを建設するケースも少なくありません。しかし、ポケモンGOに必要なのは「レアなデータ」だけでした。
2016年、東日本大震災の被災地である宮城県石巻市などで開催されたイベントは、今でも語り草になっています。目玉となったのは、当時非常に珍しく、プレイヤーなら誰もが喉から手が出るほど欲しかったポケモン「ラプラス」が、東北の沿岸部に出現しやすくなるという施策でした。
新しい建物を建てたわけでも、テーマパークを作ったわけでもありません。ただ、「出現率」というパラメータを調整しただけ。結果はどうだったか。
11日間で約10万人の観光客が訪れ、経済効果は約20億円に達しました。
普段は静かな港町に、全国から、時には海外からもトレーナーが押し寄せる。地元のホテルは満室、飲食店には長蛇の列、お土産は完売。タクシー運転手が「こんなに忙しいのは久しぶりだ」と悲鳴にも似た歓声を上げたという話も残っています。
出現率を上げるという、たった1つのデータ調整。それだけで、10万人が動き、20億円が生まれた。
これこそが、「何もない場所」に価値を生み出すデジタル時代のマーケティングの力なのです。

心理学的トリガー:希少性
なぜ人は、数万円の交通費と何時間もの移動時間をかけてまで石巻に向かったのか。
そこに働いていたのが、ロバート・チャルディーニが提唱した「影響力の武器」の1つ、「希少性(Scarcity)」です。
「今しか手に入らない(期間限定)」
「あそこでしか手に入らない(地域限定)」
この2つの限定条件は、人の行動意欲を強烈にブーストします。手に入らないかもしれない、今を逃したら二度とチャンスがないかもしれない――そう思った瞬間、価値は一気に跳ね上がるのです。
しかも今回は、それだけではありませんでした。
「復興支援」という大義名分、いわばソーシャル・グッドが加わったことで、「ゲームのために旅行するなんて」という小さな罪悪感が消えます。代わりに、「被災地にお金を落とすのは良いことだ」という正当化が働く。
希少性 × 地域限定 × 社会的意義
この掛け算が、数万円の交通費と何時間もの移動時間というハードルを、軽々と飛び越えさせたのです。
人は、合理性だけでは動きません。「今しかない」という焦りと、「これは良いことだ」という納得感。この2つがそろったとき、行動は一気に加速します。

鳥取砂丘の「解放区」宣言
もう1つ有名なのが、鳥取砂丘でのイベントです。鳥取県知事が「鳥取砂丘スナホ・ゲーム解放区」宣言を行い、大きな話題を呼びました。
結果は圧巻です。3日間で約8万9000人を動員し、経済効果は約18億円と試算されました。
普段は「ただの広い砂場」に見える場所が、スマホというレンズを通した瞬間に別の顔を持ちます。そこは「バリヤード(欧州限定ポケモン)が出現する宝の山」へと変わったのです。
新しい観光施設を建てたわけでもありません。巨大なアトラクションを作ったわけでもない。ただ、出現するポケモンというデータを置いた。それだけで、約8万9000人が動いたのです。
あまりの人出に周辺道路は大渋滞。砂丘の入り口までたどり着けない人が続出するという、ある意味で嬉しい悲鳴も上がりました。「何もない」ように見える場所でも、価値のスイッチを入れれば人は動く
鳥取砂丘の事例は、そのことを数字で証明した象徴的なケースと言えるでしょう。地元にとっては大変な騒ぎでしたが、「砂丘にこれほど人が集まったのは見たことがない」と関係者を驚かせました。
…いやすごすぎるだろ!あと、鳥取の平井伸治知事↓


赤髪の余談:商品には物語が必要だ!文脈!Yeh!
この事例が教えてくれるのは、「商品の価値は、文脈(コンテキスト)によって変えられる」というシンプルで強力な事実です。
住む町や、扱う商品が一見「地味」に思えたとしても、それ自体が致命的な弱点になるとは限らない。そこに「希少性」や「物語」といったデジタルな付加価値を重ねることで、人はちゃんと動いてくれる。買ってくれる。重要なのは、モノそのものよりもどんな物語をもたせるか。
物理的なインフラを変える必要はない。大規模な投資をしなくてもいい。情報の見せ方、切り取り方、タイミングを変えるだけで、人の流れは大きく変わったのだ。
価値は、最初からそこにあるとは限らない。文脈を設計した瞬間に、生まれる。それが、この事例から得られる最大のヒントだ!興奮するぜ。
⑤ 予算ゼロでも戦える! 個人事業主のゲリラ戦術
「大企業や自治体の事例は確かにすごい。でも、うちみたいな個人商店には関係ないよ」
そう思ったあなた。実は、ここからが本番です。
ポケモンGOの面白いところは、巨大な広告費を持つ企業だけでなく、むしろ予算に余裕のない個人事業主こそ活用できる仕組みが用意されている点にあります。その代表格が「ルアーモジュール」です。
これは、ポケストップに設置すると30分間ポケモンが出現しやすくなるアイテム。言い換えれば、リアル店舗の前にデジタルな集客装置を置くようなものです。テレビCMも、折込チラシもいらない。必要なのは、たった1つのアイテムと、少しの工夫。
例えば、
「本日18時からルアー炊きます」
「ルアー使用中、画面提示でドリンク100円引き」
こんな一言をSNSで告知するだけで、周辺を歩いているトレーナーの目的地に変わる可能性がある。
大資本がメディアを買う時代から、小さな店舗が人の流れをハックできる時代へ。
派手さはありません。でも、エリアと時間を絞れば、十分に戦える。ポケモンGOは、そんなゲリラ戦を可能にするツールでもあるのです。
たった100円でできる「デジタル撒き餌」
ルアーモジュールとは、特定のポケストップに使用すると、30分間ポケモンが大量に出現しやすくなるアイテムです。これを使うと…
ゲームの地図画面上で、そのポケストップの周囲に桜吹雪のようなピンクの花びらが舞い散るエフェクトが表示されます。視覚的にとても目立つ演出です。これは、周囲数キロメートルにいる全プレイヤーに向けた狼煙(のろし)のようなもの。
「あ、あそこで誰かがルアーを使っている! 行けばたくさん捕まえられる!」
ピンクの花びらは、プレイヤーにとっていわば「祭り」のサインです。すると自然と、足がその場所へ向きます。しかもこのアイテム、1個100円程度で購入できます。まとめて買えば、さらに単価は下がります。
アメリカのあるピザ屋では、約1,000円分、つまり約10個のルアーモジュールを使用しただけで、週末の売上が75%もアップしたという事例があります。
1,000円の広告費で、売上が75%増。
これほどROI(投資対効果)の高い広告媒体は、そう多くありません。
ルアーモジュールは、まさにデジタルな撒き餌なのです。
飲食店・小売店の具体的な活用ステップ
もしあなたがカフェや居酒屋、あるいは雑貨店のオーナーなら、明日にでも試せる戦術があります。特別な広告予算は必要ありません。発想と一手間だけです。
ステップ1:立地の確認
まずは、自分のお店がポケストップの範囲内(アクセスできる距離)にあるかを確認します。範囲内なら、正直かなりラッキーです。なければポケストップ申請すればいいだけ。
ステップ2:「ルアー使用中」の告知(デジタル×アナログ)
店先の黒板やSNSでしっかり告知しましょう。
「【ポケモンGOトレーナー様歓迎】今から1時間、当店負担でルアーモジュール焚きます! レアポケモン捕まえ放題です!」ポイントは「当店負担で」という一言。この自腹感が効きます。
ステップ3:返報性の原理を利用する
ここで使っているのが「返報性の原理(Reciprocity)」です。
「お店が自分たちのためにアイテムを使ってくれた」という感覚を持ってもらう。すると人は、「何も買わずに帰るのはちょっと申し訳ないな」と感じやすくなります。結果として、「コーヒー1杯くらい注文しようか」という自然な行動につながるのです。
ステップ4:環境整備で滞在時間を延ばす
ビジネス活用で見落としがちなのが「充電」です。ポケモンGOはGPSと通信を使い続けるため、バッテリー消耗が激しい。
「充電器貸し出します」
「コンセントご自由にどうぞ」
この一言があるだけで、トレーナーにとってその店はオアシスになります。実際、アメリカの通信キャリアSprintは、店舗を「充電ステーション」として開放することでプレイヤーを店内に誘導しました。
ステップ5:チーム割・レベル割
「青チームの人はトッピング無料」
「トレーナーレベル40以上の人は10%OFF」
こうした施策は、プレイヤーの帰属意識(アイデンティティ)を刺激します。さらに、高レベルプレイヤーはコミュニティ内で影響力を持っていることが多い。彼らが常連になれば、自然と口コミが広がります。派手なキャンペーンは不要です。30分のルアーと、ちょっとした心理設計。それだけで、人の流れは変えられます。

ルアーモジュールの視覚効果がもたらすもの
| 状態 | ゲーム画面の見え方 | プレイヤーの心理 | 実際の行動 |
| 通常時 | 青いキューブが浮いているだけ | 「特に用はないな」 | 素通り |
| ルアー使用中 | ピンクの花びらが舞い散るエフェクト | 「お!あそこで誰かがアイテムを使ってるぞ」「ポケモンが湧いてるはずだ」「行ってみよう」 | 店の方角へ進路変更・来店 |
このように、わずか100円のデジタルアイテムが、現実世界の人の流れを変える「信号機」の役割を果たすのです。この仕組みを理解し、活用できている個人店主は、まだ多くありません。今がチャンスです。

⑥ 歩くことがもたらす「心と体」へのマーケティング効果
ここまでは、「集客」や「売上」といった分かりやすい成果を見てきました。
でも、ポケモンGOの価値はそれだけではありません。もっと本質的なところにあります。それが、ユーザーの「健康(ウェルネス)」への貢献です。
1日約2,000歩の増加や、1万歩以上歩く人の割合が15.3%から27.5%へと伸びたというデータが示しているのは、単なるアクティブ率の向上ではありません。生活習慣そのものに変化を起こしている、ということです。ゲームをしているだけのはずが、結果として外に出る機会が増え、日光を浴び、体を動かし、人と交流する。
エンタメの形を取りながら、ウェルネスを設計している。
マーケティングの最終形は、単にモノを売ることではありません。
ユーザーの人生を、ほんの少しでも良くすること。
ポケモンGOは、「楽しい」と「健康」を両立させることで、10年近く続く理由を作り上げました。
売上の先にある価値まで設計できるかどうか。
そこに、持続するブランドと一過性のブームを分ける境界線があるのです。
「ゲーミフィケーション」による健康増進
前述の通り、ポケモンGOはユーザーの歩数を劇的に増やしました。デューク大学の研究では、特に「普段あまり運動をしていない層(肥満傾向にある人など)」の身体活動量を増やす効果が高いことが示されています。ジム通いは続かない。でも、ポケモンを捕まえるためなら何キロでも歩ける。
これは、「運動」というつらい行為を、「遊び」という楽しい行為へと変換した結果です。いわばゲーミフィケーションの勝利です。
メンタルヘルスへの好影響
効果は身体だけにとどまりません。心の健康へのポジティブな影響も報告されています。東京大学の研究チームによると、ポケモンGOをプレイしている労働者は、プレイしていない人と比べて、1年後の心理的ストレス反応(うつや不安など)が有意に改善していたことが明らかになりました。
外に出て日光を浴びる。適度な運動をする。他者との交流が生まれる。これらが複合的に作用し、メンタルヘルスを向上させていると考えられます。
企業の「健康経営」への応用
この知見は、企業の福利厚生や健康経営にも応用できます。「社内ウォーキング大会」を開催しても参加者が集まらないなら、「社内ポケモンGO大会」にしてみるのはどうでしょうか。
「今月の合計歩行距離で競う」
「捕まえたポケモンの数で競う」
こうした仕掛けを加えるだけで、単なる運動がイベントに変わります。共通の話題が生まれれば、部署を超えたコミュニケーションも活性化する。結果として社員の健康が増進され、組織の一体感も高まる。健康促進とチームビルディングを同時に実現できる。まさに一石二鳥の施策になり得るのです。

⑦ 「サードプレイス」としてのコミュニティ形成
リアルイベントの熱狂:Pokémon GO Fest
ポケモンGOの真骨頂は、アプリの中だけでは完結しません。象徴的なのが、「Pokémon GO Fest(ゴーフェス)」と呼ばれる大規模リアルイベントです。数万人規模のプレイヤーが、1つの公園や都市に集結する。まさにゲームが街を占拠する瞬間です。
2024年に仙台で開催されたイベントでは、37万人以上が参加し、経済波及効果は約74億円に達しました。
37万人。約74億円。もはや単なるゲームイベントの域を超えています。そして、会場で目にする光景はさらに印象的です。老若男女、国籍も言語も異なる人たちが、同じ画面をのぞき込みながら自然に会話を始める。
「その色違い、どこで捕まえたんですか?」
「一緒にレイドバトルやりませんか?」
見知らぬ人同士が、共通の目的-ポケモンを捕まえる、レイドを攻略するために協力し、成功すればハイタッチを交わす。本来、都市生活の中では希薄になりがちなゆるやかなつながり。それが、この空間には確かに存在しています。
家でも職場でもない、第3の居場所。
いわゆる「サードプレイス」として機能しているのです。
ポケモンGOは、人を歩かせるだけではありません。 人と人を、もう一度つなぎ直している。そこにこそ、このプロダクトのもう1つの価値があります。

社会的証明(Social Proof)の力
街中で、同じ方向を向いてスマホを構えた人たちが集まっている光景を見たら、つい気になりませんか。
「あそこで何か面白いことが起きているに違いない」
そう感じる心理を、社会的証明(Social Proof)と呼びます。人は、自分でゼロから判断するよりも、「みんながやっている」という事実をヒントに行動を決める傾向があります。行列のできている店に入りたくなるのと同じ原理です。ポケモンGOは、この心理を極めてうまく活用しました。
レイドバトルの時間になると、公園や駅前に人が集まる。その光景自体が広告になる。テレビCMでもバナー広告でもありません。プレイヤーそのものが「生きた広告塔」になるのです。
結果として、ノンプレイヤーもこう思う。
「何だろう、ちょっとやってみようかな」
広告費をかけて認知を取るのではなく、人の行動そのものをメディア化する。これほど強力なマーケティングは、そう多くありません。

⑧ これからの世界とマーケターへのメッセージ
最後に、これからの展望と、明日から使えるヒントをお伝えします。
「ARグラス」が普及したとき、世界はどう変わるのか。
今、私たちはスマホの画面を通してポケモンを見ています。でも近い将来、メガネ型のデバイス、いわゆるARグラスが一般化すれば、スマホを掲げる動作すら不要になります。電柱の影にピカチュウが隠れ、空を見上げればリザードンが飛んでいる。店の看板を見れば、空中にクーポンが浮かぶ。
そんな光景が、特別な体験ではなく日常のレイヤーとして重なる時代がやってきます。
Nianticは現在、「Lightship」というAR開発プラットフォームを他社にも提供しています。これは、ポケモンGOで培った地球規模の3Dマップデータ(VPS)を、外部企業も活用できるようにするものです。その世界では、マーケティングは「場所」の奪い合いになります。
「ウチの店の看板を見ると、特別な情報が浮かび上がる」
「この商店街を歩くだけで、ポイントが貯まる」
そんな「空間そのもののメディア化」が一気に進むでしょう。
広告枠を買う時代から、視界の中の座標を取りに行く時代へ。
ポケモンGOは、その未来に向けた壮大な実験場です。そして、そこに関わった企業や自治体は、すでに先行者利益を積み上げています。
今はまだスマホの中の話かもしれません。
でも、その次のインターフェースが来たとき、勝つのは「空間をどう設計するか」を理解しているマーケターです。
ポケモンGOは、単なるゲームではありません。
来たるAR時代の、予告編なのです。
赤髪からのアドバイス
ここまで読んでいただき、ポケモンGOの凄さが単なる「キャラ人気」ではないことがお分かりいただけたかと思います。
もしあなたが、「自分のビジネスに応用するには?」と悩んだら、まずはこれだけ考えてみてください。
「どうすれば、お客さんがそこに来ることを『冒険』に変えられるか?」
商品を売るのではなく、来店するまでのプロセスや、店での体験を「ゲーム」にしてみる。
「雨の日だけポイント2倍(可変的報酬)」
「3回来たら裏メニュー(保有効果)」
「店長にじゃんけんで勝ったらトッピング無料(参加型イベント)」
デジタルを使わなくても、ポケモンGOの「思考法」は、アナログな店舗経営にも十分に活かせます。
楽しみながら、あなたのビジネスにも「遊び心」というスパイスを加えてみてください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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引用文献
- Niantic pushes vision for ‘real-world metaverse’ in first brand campaign | Marketing Dive https://www.marketingdive.com/news/niantic-pushes-vision-for-real-world-metaverse-in-first-brand-campaign/610287/
- What Interoperability Means For Games – Naavik https://naavik.co/digest/interoperability-niantic/
- Report: Niantic Business Breakdown & Founding Story | Contrary Research https://research.contrary.com/company/niantic
- Pokémon Go: The April Fools’ Joke that Turned into a Global Sensation – USC Viterbi https://magazine.viterbi.usc.edu/fall-2016/alumni/pokemon-go-the-april-fools-joke-that-turned-into-a-global-sensation/
- Pokemon Go: How a Google prank spawned a mobile gaming phenomenon | CBC News https://www.cbc.ca/news/science/pokemon-google-origins-1.3690769
- Pokemon Go boosts physical activity, particularly among those who need it the most https://medschool.duke.edu/news/pokemon-go-boosts-physical-activity-particularly-among-those-who-need-it-most
- An Initial Evaluation of the Impact of Pokémon GO on Physical Activity https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.116.005341?doi=10.1161/JAHA.116.005341
- How the Hook Model Turns Gamification into High-Performance Habits – SHIFT eLearning https://www.shiftelearning.com/blog/how-the-hook-model-turns-gamification-into-high-performance-habits
- Hooked – How to build habit forming products | PPTX – Slideshare https://www.slideshare.net/slideshow/hooked-how-to-build-habit-forming-products-65686050/65686050
- What makes PokémonGo so Addictive? | by Christopher Nheu | Startup Grind | Medium https://medium.com/startup-grind/what-makes-pok%C3%A9mongo-so-addictive-a6a841bb5286
- Psychology in Marketing: Expert Guide for UK Businesses https://profiletree.com/how-to-use-psychology-in-marketing/
- Getting Gamers The Psychology of Video Games and Their Impact On The People Who Play Them by Madigan, Jamie – Scribd https://www.scribd.com/document/689540191/Getting-gamers-the-psychology-of-video-games-and-their-impact-on-the-people-who-play-them-by-Madigan-Jamie-z-lib-org
- 「Pokémon GO Fest 2024: グローバル」で記録されたデータが公開に。ポケモンの総獲得数は14億匹,総歩行距離は1億kmを超える – 4Gamer.net https://www.4gamer.net/games/316/G031663/20240716057/
- Niantic charges up to $0.50 for every visitor to a sponsored https://www.pocketgamer.biz/niantic-pokemon-go-partnership/
- Pokémon GO Reveals The Insane Amount of Money They Get for … https://nextshark.com/pokemon-go-reveals-insane-amount-money-get-sending-people-mcdonalds-starbucks
- 鳥取砂丘で「ポケモンGO」、経済効果は18億円 目標の4.5倍 … https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1711/30/news094.html
- The Digital Marketing Lesson Of ‘Pokémon GO’ – Bain & Company https://www.bain.com/insights/digital-marketing-lesson-pokemon-go-forbes/
- Pokémon GO Events: Experiential Marketing’s Power Play https://sentientbyelysian.com/blogs/pokemon-go-experiential-marketing
- 「ポケモンGO」は働く人のメンタルヘルスに有効 初の科学的な検証 https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2017/006759.php?hm=170914















































