Gogh

夜のカフェテラスとアルルの跳ね橋|クレラーミュラー初訪問|Kröller‑Müller Museum【オランダ】

2024年5月19日、午前11時。オランダの静かな片田舎に佇むクレラーミュラー美術館に到着。ヨーロッパの美術館をひとりで1か月かけて巡る旅の途中で、この日はアムステルダムからの日帰り遠征だ。

この記事を書いているのは2025年11月。ちょうど今、神戸で開催されている大ゴッホ展では、このクレラーミュラー美術館から60点の作品が貸し出されている。昨年、現地で観賞したあの絵たちが日本に来ていると思うと、少し不思議な気分になる。この機会に、あのとき撮った写真をまとめておきたいと思った。

現在60点のゴッホ作品が私の出身地兵庫県にきている↑

クレラーミュラー美術館は、オランダ・ヘルダーラント州オッテルローの国立公園内にあり、自然と芸術が一体となった場所だ。建築はベルギーの建築家ヘンリー・ファン・デ・ヴェルデによるもので、1938年の開館以来、世界中のアートファンを惹きつけ続けている。

私のようななんちゃって美術好きには、少し緊張感のある空間だ。観光地の美術館とは違い、ここには静寂がある。作品と対話するような時間が流れている。元々ここを作ったヘレーネさんも、この静寂の元での作品との対話を重視して、この地に建設を決めたそうだ。

敷地は広大で、ヨーロッパでも屈指のスケールを誇る屋外彫刻庭園がある。だがこの日は館内に夢中になってしまい、庭園を歩いたのは10分ほど。目的はもちろん、ゴッホの絵を見ることだからね。滞在できたのはわずか5時間。だからこそ、今回はゴッホ作品を中心に、他の名画もできる限り目に焼き付けることにした。てか、ちゃんと見て回るなら1日じゃ全然足りないよ…。帰りに近所のホテルを調べてみたが、安くても6万円程した(笑)オランダは物価がえげつないです。

印象的だったのは、入口にある赤いモニュメント。正直、こうした現代彫刻にはあまり明るくないのだが、強い存在感があって心を奪われた。ちなみに私はもう8年ほど赤い髪を維持しているが、このヨーロッパ旅行はなぜか黒髪にして行った。深い理由はない。

国立公園の中にあるため、周囲は本当に公園そのもの。のどかで、人の気配が少ない。車で訪れる人が多いようだが、私はひとり旅ということもあり、国際免許を取っておきながら電車とバスを選んだ。結果、アムステルダムから4時間以上の道のり。アムステルダムのホテルを出発したのは朝5時。到着は朝11時過ぎだからね。体感では、東京から長野に行くくらいの距離感。

それでも行ってよかった。パリのオルセー美術館、ニューヨークのMOMA、アムステルダムの国立美術館、どこへ行ってもゴッホの前には人だかりができる。けれどここクレラーミュラーは、驚くほど静かだった。日曜の昼前にもかかわらず、人気作「夜のカフェテラス」や「アルルの跳ね橋」の前で、人がいない瞬間が何度もあった。夜のカフェテラスなどは、20分以上ひとりきりで観賞していたと思う。アルルの跳ね橋に至っては、それ以上。まさに贅沢な時間だった。平日にきたらどれだけゴッホ作品を独り占めできるのだろうか、想像しただけでよだれが出る。

まずは、その夜のカフェテラスから。

ゴッホの展示エリアに入ると、最初にこの絵が迎えてくれる。クレラーミュラーにある数多くのゴッホ作品の中でも、まさにエース的存在だ。

実物の前に立つと、筆のタッチひとつひとつまで見える。私は絵の具の重なりが分厚い絵が好きなのだけど、ゴッホのこの作品は、まさに分厚い!

星空の描き方には、どこかファンタジーのようなロマンがある。星というか月がたくさんあるような描き方。

展示スペースは驚くほど落ち着いていて、写真に写るこの瞬間が一番混んでいたタイミング。これで混んでいるのだから、どれだけ静かだったか想像できると思う。2〜3分間、展示室の中で完全にひとりになる時間もあった。何度もいうが、これは日曜の昼だ!

ここを訪れている人々は、観光ついでではなく、美術館そのものを目的に来ている人ばかり。民度が高く、静かに絵と向き合う空気が心地よい。

この3つの絵画の中では、私は真ん中の女性の絵がいちばん好きだ。左の郵便配達人ルーランの奥さんで、どこか優しさと静けさを感じる表情をしている。

右の絵も、どえらい有名な絵なんですけどね。似た絵をボストン美術館で見たときは大人気でみんなスマホでパシャパシャしてましたが、ここではこんなにゆっくり観賞できる…幸せだなあ。ボストン美術館では人だかりができていたけれど、ここではゆったりと眺めることができた。

そして次は「アルルの跳ね橋」。この作品は、2027年末に日本へやってくる予定だ。

2027年に日本に来る予定の「アルルの跳ね橋」

クレラーミュラー美術館は、ゴッホの油絵を約90点、素描を200点近く所蔵している。

展示中の作品、貸し出し中の作品、そして保管中の作品の3つに分かれているそうだ。オランダのゴッホ美術館(油彩約200点、素描約400点)に次ぐ、世界第2位のゴッホ・コレクション。まさに、ゴッホ好きにとっては聖地のひとつといえる場所だ。

この日は時間が足りず、ゴッホの作品を中心に館内をまわるだけで終わってしまった。けれど、館内の空気や光の入り方、作品を前にした静けさの記憶は今でも鮮明に残っている。クレラーミュラー美術館は観光地の美術館ではなく、作品と対話するための場所だと感じた。

この近辺はホテルがありえないほど高いけど(一番安くて6万円だった)、また行けるなら、必ず平日泊りで行って、2日かけてゆっくり楽しみたい。

ほかにも見せたいクレラーミュラーでみたゴッホ作品の写真は沢山ある。それはまた次のブログで。今回はここまでにしておこう。

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